【デスストランディング】賛否両論、評価が分かれる理由とは。
ども。しまおです。
令和元年、ゲーム業界を最も賑わせたと言っても過言ではないデスストランディング。
今回はこの作品について語っていきたいと思います。
ネタバレも含むのでこれからプレイしたい方は注意してください。
前置きになりますが、本作はメタルギアソリッドの産みの親として有名な、小島秀夫監督の独立後第一作目です。
ゲームエンジンはキルゾーンやホライゾンの開発元であるゲリラゲームズとコラボしたものを使用し、主人公などのキャラクターとしてノーマンリーダスなど数多くのハリウッドスターが登場します。
吹き替えは大塚明夫さん、水樹奈々さんなど日本の声優陣も豪華。制作環境からキャストまで、至る所に力が入っています。
上記の内容に加えて新規IPということで、日本のみならず世界が注目した作品となりました。
しかし、こうした話題を集めたデスストランディングはメタスコアで評価が割れるなど、発売前から物議を醸していました。
なぜ賛否両論、評価が分かれることになったのか。
これからゲームの内容と合わせて語っていきたいと思います。
[独創的すぎる世界観]
まずはこのゲームの世界観について。
本作は「ストランド(繋がり)」をテーマにしていますが、その「繋がり方」の表現の癖が強すぎる。
物語の入りは義母であるアメリカ大統領を焼却場まで配達するという衝撃的な始まり。
のっけからシリアスな展開のため、すでに嫌悪感を覚える人もいるのではと思いつつ・・・
デスストランディングの「繋がり」というのは三次元の表現だけにおさまらず「死後の世界」を別次元として描写しているため、独自の死生観で世界が成り立っています。
死生観の描写について、代表的なものがこのモヤがかった幽霊のように見えているBTです。
人間の遺体は死後、約48時間でネクローシスし、BTになって人を襲うためネクローシス前に焼却しなければなりません。
このBTは、人間と接触するとヴォイドアウト(対象滅)を起こしてしまいます。
ヴォイドアウト(対象滅)とは本来触れ合うはずのない他次元のもの同士が接触した時に起きる連鎖反応のようなもので、接触時にいた場所の周辺一帯が大爆発を起こしクレーターと化す現象です。
BTは別次元の存在なので、普段は目にすることができません。
そこで、BTを可視化するために使用するのがこの「胎児」。
通称ブリッジベイビー、略してBBです。
この胎児は脳死した母親から切り離され、子宮を再現した容器に入れられています。
容器をソケットで繋ぐことで死後の世界と繋がれるという設定なのですが、母親を通して死後と繋がった胎児と、容器を介して主人公が繋がるというのはなんともいえない複雑な感情になります。
背景だけ考えると恐ろしいことを体験しているようですが、BBは親密度が上がると色んなリアクションをしてくれるようになりますし、主人公のサムもBBに色々話しかけるようになるんです。
BBの声はコントローラーから直接聞こえるので愛着が湧きますよ。
[ひたすら配達。荷物を届けるのが主人公の役目]
この世界は虹がかかるとタイムフォール(時雨)と呼ばれる雨が降ります。
時雨は触れたものの時間を急速に進めるという性質を持っており、物は劣化し、人は老化します。
さらに、時雨が降っているときは死後の世界と現実の世界を繋ぐ門の役割をはたす「ビーチ」が出現し、そこからBTが人を襲いにやってくるのです。
この現象を総称して「デスストランディング」と呼んでいますが、アメリカの人々はデスストランディングから逃れるため、地下シェルターに籠もっています。
もはやそこに文明と呼べる物はなく、荒廃した世界で必要となるのは物資のみで、主人公はアメリカ再建という名目で人々に物資を配達し続けます。
未知の生物を食べたりしながら・・・
物資を届けつつ、新しい通信網としてカイラル通信も繋げていきます。
道路のような老朽化が進む建造物は時雨によって全て消失するので、新しい通信技術「カイラル通信」で都市と都市を繋げていくことが物語の本筋です。
この作業をアメリカ大陸の東から西まで行います。
物資の供給から通信接続まで、主人公一人でこなすゲームです。
やれることは色々ありますが、やることはシンプル。
「東から西まで荷物を届け続けます。」
[オンライン協力すら過酷]
荷物を運ぶと言っても、このアメリカはとても広い。往復することも頻繁にあるため配達を楽にできる方法として「老朽化しない道路」を作ることができます。
車もバイクもあります。
ファストトラベルがありますが、荷物を持ってファストトラベルはできません。
つまりショートカットができない仕様になっているわけです・・・
道路のほかに建造できる設備は複数あり、オンラインで世界の人と繋がりながらみんなで素材を追加して一緒に作っていきます。
一人で都市間を繋ぐ道を作ろうとすると途方もない時間を浪費します。
橋やセーフハウスも同様です。
また、オンラインはゆるく繋がることを前提にしているので共有されるものについて説明がわかりづらく、条件の特定も困難なので、有るか無いかわからないようなものに頼っているような感覚。
小島監督自身も公言していましたが、このゲーム「しんどいと思います。」
[終始シリアスというわけではない]
流石にゲームですので、ちゃんと娯楽要素も用意されています。
いくらシリアスで重たい背景を抱えているとはいえ、ゲームでずっと暗い気持ちでいるのはエンターテイメントとは呼べないでしょう。
だからかな、美少女が登場するんです!
道中には温泉があったり、ビールが自室で飲めるようになったり、コスプレイヤーからラッコのフードをプレゼントされ装備できるようになるなど。
テーマが重たい分、遊びの要素が笑えるシーンに感じられたりします。
でも主人公は伝説の配達人と呼ばれた男。
もちろんこの娘は、
配達するんですけどねっ!!!w
ここまで色々書いてきましたが、このゲームが賛否両論分かれているのは、<世界観がダークSFで癖が強いこと>と<配達要素に偏ったゲームプレイ>という要因により"万人受けしない"作品に仕上がっているからだと感じます。
個人的にはこの世界観がたまらなく好きですし、配達にも試行錯誤する楽しさがあるので今までに感じたことのない不思議な気持ちでゲームを楽しめています。
BGMやバトルパート、ムービーの映画的演出は言わずもがな。
ある意味新しいゲームの定義づけを行った作品として、一人でも多くの方に触れてみていただきたい一本です。
とある編集者は言っていました。
「自分のゲーム経歴のマイルストーン」だと。